車を乗り換える時、中古車を下取りに出す人と買取に出す人がいるけど、どっちが得にゃん?
一般的には下取り価格よりも買取価格が高いって言われているね~
実際のところどうなのか、自分の体験も交えて話してみるね!
買取価格は下取り価格よりも本当に高いのか?
現在乗っている車から新車に乗り換える場合、中古車の扱いをどうするかについては以下の3つの選択肢があります。
- 新車ディーラーへの下取り
- 買取専門業者の買取
- 個人売買
これらの選択肢の中で、一番ハイリスクハイリターンなのが、最後の個人売買です。
中間マージンを取る業者が間に入らないので、最も高く売れる可能性がある反面、手続きの煩雑さに加えてトラブル発生のリスクも抱えることになるので、実際には中古車の個人売買をする人はほとんどいないでしょう。
ということで、上の2つの選択肢が現実的な方法になります。
どちらも中古車を手放すことにより対価(下取りの場合は下取り価格、買取の場合は買取価格)を得ることには変わりはありませんが、中古車の査定評価は一物一価ではないので、その対価の評価差が出るのが当たり前になっています。
一般的には、買取価格が下取り価格よりも高くなることが多いと言われていますが、さて実際のところどうなんでしょうか?
買取価格と下取り価格との違いは?
下取り価格には新車納車までのタイムラグが考慮される
まず下取り価格ですが、新車ディーラーが下取り査定を行います。
ディーラーの査定評価は、型式、年式、グレードなどから基準価格がわかる虎の巻みたいな分厚い冊子があるので、まずそれをベースに基準価格を定めて、そこから走行距離の加減点、事故の有無、修理履歴、エクステリアやインテリアの状態、車検・保険の残存期間などの個別の車の評価をプラスマイナスして最終的な査定評価=下取り価格を出します。
下取りというのは、新車購入に対して行われるものなので、基本的に新車を納車する時に下取り車を引き取ることになります。
つまり、査定した時点から中古車を引き取るまでタイムラグがあるわけです。
タイムラグがどのくらいになるかは新車によって変わりますが、新車がディーラー在庫車であっても、契約してから納車するまでに最短で2週間はかかりますし、メーカー発注ともなると1ヵ月以上はゆうにかかるケースが多くなります。
理論上、下取り査定価格はこのタイムラグを織り込んだコンサバな評価になります。
買取価格はその時点での市場実勢価格がベース
一方で、買取価格は買取専門店が買取査定を行います。
この査定評価は、その時点でのオークション市場価格(業者間におけるオークション価格)に連動しています。
買取は契約が成立した時点ですぐに中古車を引き取ることを前提にしており、その時点での市場実勢価格をベースにしているのです。
下取り価格のようにタイムラグを考慮した査定評価ではありませんし、オークション価格ですから、下取り価格よりもリアルな市場評価になります。
結局どうなのか?
買取価格と下取り価格には上記のような違いがありますが、理論上中古車の査定価格は時間の経過とともに下がっていくことが普通ですから、新車納車までのタイムラグを織り込んだ下取り価格の方が買取価格よりも低い査定になります。
これは理論上の話ですが、実はもっと重要な違いがあります。
それは下取り査定評価では買取査定とは異なり競争原理がほとんど働かないことです。
買取査定においては、前述の通りオークション価格をベースに査定が行われますが、買取業者毎にそのベースの査定評価に色(プラスマイナス評価)をつけます。
自社の在庫状況、得意な車種、流通ルートなどが考慮されますが、前提として競合他社を意識して査定評価がなされます。
買取業者としても自分のところ1社だけの査定で契約できるような甘い考えは持っていないので、どうしても取りたい中古車であれば競合他社に負けない値付けを行う(=値を上げる)のです。(もちろん競合をなるべく避けたいので、査定した時点で他の買取業者の査定をとらないようにその場での契約を促す営業マンもいますが・・・)
一方で、下取り価格は新車販売という一連の過程の中での査定評価になっていて、他社の下取り価格や買取業者の買取価格はほとんど意識しませんし、下取り査定自体に競争原理はほとんど働かないと言っていいでしょう。
お客様サイドに目を向けても、新車購入において当たり前のように下取りに入れてしまう人が多く(本当にもったいない・・・)、こうした現状もディーラーサイドに競争原理が働かない要因の一つになっていると思います。
以下のことから買取価格は下取り価格よりも高くなりやすい。
- 下取りのように中古車引き取りまでのタイムラグがなく、その時点での市場実勢価格ベースでの査定ができる。
- 下取りとは異なり、競合他社に勝つ値付けを行う必要があり、競争原理が働きやすい。
管理人の経験に基づく裏話
自己紹介でも書いていますが、管理人ことkurumanは、1990年代にN系自動車ディーラーで営業マンとして新車販売に奔走していました。
新車販売って、初めて車を購入するという若い人でもなければ、だいたいが現在乗っている車からの乗り換えなので、中古車の査定評価をよくやりました。
査定にあたっては、もちろん基本的なことは教えてもらって、それに基づいて行っていましたが、正直言って結構いい加減でした。
表向きに競合となるのは「新車値引き」の方なので、下取り査定価格が他社と比較して高いか低いかなどはほとんど意識したこともありませんでしたし、下取りは新車契約全体の一部の取り扱いなので、最終的なお客様の支払金額がどうなるのか等の方が問題でした。
ディーラーとしては、新車自体ではそれほど利益が出なくても、付属の部品、ディーラーオプション、そして下取りで取った中古車売買、新車購入後の点検・修理などのトータルで利益が増えればOKというのが実態になっています。
悪いことを考える輩も出てくる
中古車の売買は右から左に流せば簡単に利益が出るので、悪いことを考える営業マンが出てきます。
新車の見積書をお客様に提示しても、どうやっても金額面で折り合わない場合、下取りを操作するのです。
営業マンは買取価格が下取り価格よりも高くなるケースが多いことを知っているので、下取りを外して自分の知り合いの買取業者に査定を取らせ、下取り価格よりも高い価格で買い取ってもらうことで新車購入を促すのです。
これは本来ディーラーが下取ることで得られたはずの中古車売買の利益を横流ししていることを同じですから、それだけで罪ですが、更に悪い営業マンには下取り車の横流しによる利益を自分の懐に入れる輩もいます。
一番手軽なのが、知り合いの買取業者に買い取ってもらうことで業者からキックバックを得る方法で、一番ヒドイのは、お客様にはディーラーが下取りしたと契約書上は見せかけて、実際には自分で中古車売買を行い、利ザヤを全てもらう方法です。
この方法だと1台横流しするだけで数十万円のサヤが抜けるケースがありますから、ヘタすると自分の給料以上の収入になることもあり、隠れてやっている者もいたようです。
自分の営業所にはいませんでしたが、よその営業所ではばれて懲戒解雇になった奴もいました。
(他にも横流しではありませんが、お客さんから預かった現金を懐に入れて、自分の飲み代などに使い、自転車操業になって、ばれてしまって解雇になった奴とか、ほんの一部ですが、ろくでもない奴がいたのは事実です。)
このように下取りに入れないで買取に回すことが行われる背景には、やはり下取り価格よりも買取価格の方が高いことが多いということを営業マンが知っていることがあります。
この裏話からも買取価格が下取り価格よりも高いことが多いことがご理解いただけると思います。
【おまけ】下取り価格の方が買取価格よりも高いケースについて
上記のように、買取価格が下取り価格よりも高いことが多い(全てではない)のですが、例外としてはディーラーが新車の販売施策を打っているケースがあります。
特に1-3月期の新車販売の目標が一番高い時期に導入されることが多いのですが、例えばどんな下取り車でも一律3万円査定アップさせるような販売施策です。
この場合、20年落ちのような超低年式車でも、とんでもなくオンボロな車でも、つまりどの買取業者でも査定価格がゼロになるような車でも、最低3万円の査定価格になるので、買取価格よりも高くなります。
このような例外でなくても買取価格が下取り価格よりも100%高いということではないので、いずれにしても買取査定も下取り査定も両方やってもらうことが必要です。
それから、このサイトでは口うるさいほど書いていますが、買取業者によっても査定価格には大きな開きが出る可能性が高いので、複数の買取業者に査定してもらうことが重要になります。
また複数査定をスムーズに行うには以下のような一括買取査定を活用するのが、簡単で便利であることは言うまでもありません。